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転職ノウハウ

AgentTimes
Vol. 5 2017/09/15

人事担当者に聞いた!「出戻り転職」って実際どう…?

転職の際、一度退職した会社に再び入社する「出戻り転職」。元々働いていた会社に戻るとなると、歓迎されるのか、あまりよく思われないのか、周囲の反応が気になるところ。そこで今回は、出戻り転職に関するメリット・デメリットや知っておきたい心構え、さらに人事担当者が出戻り転職に対してどう思っているのか聞いてみました。

調査方法/全国の現役の人事担当者を対象にインターネット調査
実施期間/2017年8月25日、回答数100名

出戻り転職は一般的?

Q. 社内に、出戻り転職によって戻ってきた社員はいますか?

いる…49%
いない…51%

人事担当者へのアンケートでは、会社内に出戻り転職によって戻ってきた社員がいるとの回答が49%。約半数の会社で、出戻り転職を受け入れているという結果になりました。

出戻り転職についてどう思う?

Q.一度退職した社員が、再度会社に入ることについてどう思いますか?

  • 大歓迎
  • 本人と会社、お互いに利益になるのであれば問題ない
  • 優秀で実力があれば受け入れる
  • 他社での経験を生かして頑張ってほしい
  • 自社の業務の経験があるので、一から教えることが少なくて助かる
  • 他社を経験して、やっぱり自社の社風が合っていると感じてくれたなら嬉しい
  • 退職した理由による
  • 人によるところが大きい(アリの人とナシの人がいる)
  • 人材不足の解消になるのでありがたい
  • 問題を起こさず退職したかどうかによる
  • 他社に行ってみて、自社の良いところや課題を客観的にみてもらえるのはよい
  • その人が活躍できるポジションがあるなら問題ない
  • 戻ってくるなら、初めから辞めなければいいのにと思う
  • 以前と同じ理由でまた退職するのではないかと不安に感じる
  • 基本的には受け入れるが、なぜ戻ってきたのか理由を知りたい
  • 会社の規定で受け入れないことになっている
  • 自社でずっと頑張っている社員に示しがつかないので受け入れない
  • イメージはあまりよくない
  • 本人にとって不利益になると思う
  • ありえないし、信用できない
  • 勝手な話だと呆れる

人事担当者に出戻り転職への率直な印象を聞いたところ、肯定的な意見と否定的な意見にわかれました。自社の業務経験に加え、他社で習得したスキルやノウハウを生かし、即戦力として活躍してもらえるといった前向きな意見の一方、他の社員に対する配慮や再び同じ理由で辞めてしまうのではないかという懸念からあまり前向きに受け入れをしていないという声もあがりました。

出戻り転職後の社内の反応は?

出戻り転職をして気になるのは、周囲の反応ではないでしょうか。人事担当者からみて、受け入れる会社側の対応や周囲の社員の反応がどんなものだったのか聞いてみました。

Q. 受け入れ側の会社の対応や周りの人の反応はどうでしたか?

  • 快く受け入れられていた
  • 以前と変わらない態度で接している
  • 戻ってきてくれたことで業務がスムーズになり、周囲に感謝されている
  • 能力がある人なので、みんな納得し歓迎している
  • 人一倍頑張っている様子がわかるので、周囲も認めている
  • 他社で経験した良いところや悪いところをふまえ、自社の業務に取り組んでいる
  • 以前在籍していた時とは部署のメンバーも大きく変わっているので誰も気にしていない
  • そもそも、周りの反応が冷たくなるような人物は出戻りを認めない
  • その人が出戻り転職だと知らない社員の方が多い
  • 出戻り直後は周囲が冷ややかだったが、業務が始まったらすんなり打ち解けた
  • あまりよく思われていない
  • 多数から反感を買ってしまい、今後の出戻り転職受け入れに対するハードルが上がった

出戻り転職後の周囲の反応としては、概ね以前と変わりなく受け入れがされているようです。そもそも以前所属していた時のことをほとんど知らないのでまったく気にしないという声も。一方で、出戻り後はあまりよく思われず、居心地の悪い思いをしてしまうケースもありそうです。どちらにしても、戻ってきてもらえてよかったと周囲から思われるような仕事への姿勢や努力は必要といえるでしょう。

出戻り転職のメリット・デメリット

<転職者側のメリット>

  • 即戦力として働ける
  • 社風や企業文化を知っているため、転職後のズレが起きにくい
  • 他社で明確な実績を積んでいる場合、以前より待遇がよくなる可能性がある

<会社側のメリット>

  • 採用・教育コストが少なくてすむ
  • 他社のノウハウや良い点を自社に取り入れることができる
  • その人の人間性が分かっているので、採用に失敗しにくい

<転職者側のデメリット>

  • 以前辞めた理由と同じ理由で辞めたくなる可能性がある
  • 在籍当時と社内事情が大きく変わり、想定していた環境と違う可能性がある
  • 必ずしも周囲から歓迎されるとは限らない
  • 長く在籍している社員の方が優遇される場合もある

<会社側のデメリット>

  • 周囲の社員から反発が起こる可能性がある
  • 出戻り社員の経験やスキルによっては、在籍当時より待遇をあげる必要がある
  • 他の社員に、辞めてもまた採用してもらえるというイメージがつく場合がある

出戻り転職は、よく考えてから決断を!

社内事情や仕事内容をある程度わかっていて、一緒に働いたことのある人たちの元に戻るのだから、失敗はしないだろうと思っている出戻り転職希望者は多いかもしれません。現在在籍している社員からの紹介であれば、実際に採用される可能性も高まるでしょう。
しかし、転職した企業が合わなかったから、転職活動が面倒だからといった安易な理由で出戻り転職を選択することは避けるべきです。

以前その会社を退職した理由は何でしたか?例えば、本当は辞めたくなかったけれど、結婚や出産、引越し、病気などやむを得ない事情で辞めざるを得なかった、その会社が好きでもう一度そこで働きたいと考える場合には、出戻り転職をしてもよいでしょう。
一方、以前辞めた理由が人間関係や仕事内容、待遇などによるものであれば、再びその会社に戻っても同じことで辞めたくなる可能性が高いです。

また、周囲の社員からは少なからず「なぜ戻ってきたの?」という疑問を持たれます。以前の在籍時より高い成果を出すことが求められるかもしれません。そんな中で周囲に認められるためには、再びこの会社の社員として力を尽くすという心構えと行動が必要になります。
そういったことをふまえて、一度辞めた会社にどうしてまた戻りたいのか、自身と受け入れ側の会社にとってよい選択なのか、しっかり考え出戻り転職を決断しましょう。

出戻り転職が受け入れられるかは、会社と人物による

約半数の企業で、出戻り転職の社員を受け入れている。出戻り転職に対しては、即戦力として活躍してほしいという前向きな期待と、周囲の社員のモチベーション低下など受け入れることで懸念されるデメリットの両側面がある。出戻り転職が歓迎されるかは、会社の方針と転職者の人柄・能力によるところが大きい。

会社側は、低コストで優秀な人材を採用できるメリットも

企業にとって、中途社員の採用・教育にかかるコストはとても大きいもの。既存社員への影響などから出戻り転職の受け入れを躊躇する会社もあるが、うまくいけば即戦力になる優秀な人材を採用・教育コストともに抑えて確保できるメリットがある。

どうしてその会社に戻りたいのかを明確に

出戻り転職を成功させる第一歩は、一度辞めた会社になぜまた戻りたいのか理由を明確にすること。以前所属していたからと気を抜かず、当時と現在で何が変わり、何が変わらないのか、組織の現状を事前にしっかり把握することも忘れずに。

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