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筆者は仕事柄、しばしば「自分の理想の仕事と今の仕事の間に存在するギャップをどうすべきか」といった質問を受ける。総合職として会社から与えられた仕事に向き合わねばならない日本のサラリーマンにとって、やはり理想と現実のギャップは永遠のテーマらしい。
むろん「仕事など生活費を稼ぐための手段でしかないから淡々と流すだけだ」というスタンスもあるにはある。ただ、以前も述べたように、人生100年時代、70歳まで仕事を続けていくことを想定すると、仕事を単なる手段と割り切った生き方は実にもったいないと思う。
というわけで、今回は「本当にやりたい仕事と今の仕事とのギャップの埋め方」についてまとめておこう。
日本においても学生に対するインターンシップ制度が普及し、卒業前に具体的なキャリアビジョンを形成できる人材も増えつつある。だがやはり、大方の20代は自分の思い描いた仕事とは違う、会社に決められた配属先で上司に与えられた仕事と向き合っているというのが現実だろう。
おそらく、20代の若きビジネスパーソンは日々職場でさまざまなギャップと格闘する日々を送っているはず。結論から言えば、そうしたギャップは20代にとっては貴重な財産と言っていいものだ。
人というのは意外と自分自身を理解できていないものだ。自分がどういうことが好きで、どんな性格で、どういうキャリアを伸ばしていきたいのか。おそらく正確に理解できている人は(特に若手ほど)多くはないであろう。
そこで、それらに関する重大なヒントを与えてくれるのが“ギャップ”である。
「なんでこの仕事はこんなにつまらないのだろう」
「この膨大な数字を資料に入れ込む仕事は大して生産的なものではない」
といった不満は、逆に言えばその人が本当に求めるものが何であるのかを示してくれている。今の仕事がつまらないなら自分は何を面白いと感じるのか、意味のない仕事だと思うなら、より付加価値の高い仕事とは何か。「今やっていること」と「やりたいこと」のギャップについて考えていくうちに、そこに本質的なものが隠れていることに気づくはずだ。
筆者はこのことを「真っ暗な洞窟の中を手探りで進むようなもの」と例えている。こつんとぶつかるギャップが多ければ多いほど、その人はより正確に“進むべき道”を理解できるに違いない。だからとにかく、20代(まあ30代でも構わない)はまずさまざまなことに挑戦し、矛盾やギャップを肌で感じるべきだ。
そうやってできるだけ早い段階で磨き上げたキャリア観を基に、30代では転職を通じてギャップを埋める努力をすべきだろう。会社の規模や処遇を判断基準にするのも良いが、やはり「70歳まで携わるキャリアを選択する」という視点も持っておいたほうが良い。
その際、意中の会社に直接エントリーするのももちろん構わないが、できれば人材紹介会社に登録して転職コンサルタントにキャリアの棚卸をしてもらうのが良いだろう。幅広い業種の中からマッチする案件をリストアップしてもらえるはずだ。
とはいえ、やはり転職のハードルが高いと感じるのであれば、今の会社に残ったまま環境を変える努力をするというのも一つの方法だろう。社内公募や社内FA制度といった「従業員が自分で手を挙げて携わりたい仕事に応募する」仕組みを導入している企業は少なくない。そうした仕組みを利用すれば、少ないリスクでギャップを埋めることができる。
また、上司や人事部に、自身のキャリアデザインに沿った部署への異動を掛け合ってみるのもいいだろう。深刻化する人手不足から、戦力となっている中堅社員の引き留めを管理職の評価項目に入れている企業は少なくない。日頃の働きぶりがしっかり評価されている人材であれば、できることは何でもしようという管理職も少なくないはずだ。
そういう意味では、今ほど個人がやりたい仕事と現実のギャップを埋めやすい時代はない。そのために必要なのは、ほんのちょっとの熱意と一歩踏み出す勇気だけだ。
城 繁幸(じょう しげゆき)
人事コンサルティング「Joe’s Labo」代表取締役。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。
人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種メディアで発信中。代表作『若者はなぜ3年で辞めるのか?』、
『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』、『7割は課長にさえなれません 終身雇用の幻想』、終身雇用プロ野球チームを描いた小説『それゆけ!連合ユニオンズ』等。
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