転職ノウハウ

フリーランスという働き方を選択する前に必ず確認すべきこと

働き方改革を通じて副業や転職がクローズアップされる中、一つの組織にとらわれずに働くフリーランスという働き方にも注目する人が増えている。

クラウドソーシングやテレワークの普及で参入の敷居が下がったことに加えて、人手不足で外部のリソースも活用せねばならない企業側のニーズも考慮すれば、これから市場はまだまだ拡大するはずだ。既にアメリカではフリーランス人口は5,000万人を超え、将来的には労働力人口1億6,000万人の過半数を超えるとの試算もある。※

一方で、“終身雇用制度”の対極と言っていいワークスタイルであり、興味はあるが不安を感じるという人も少なくないだろう。というわけで、今回はフリーランスとして働いていく上でのポイントを整理しておこう。

※(一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会 2018年6月20日「フリーランス白書 2018」より)

実績と顧客は独立前に作るのが鉄則

筆者はフリーランスとして会社員以上に活躍しているビジネスパーソンを何人も知っているが、その全員には共通点がある。それは『独立後に必要とされる実績や顧客とのパイプは、会社に在籍している間に作っていたこと』だ。

また、もともといた会社と引き続き業務を請け負う契約をした上で独立するケースも多いように見える。その上でパイプを作っておいた企業に取引先を拡大していくパターンだ。

資格を取得したからと言って、実績のないものに企業は仕事を任せない。また実績があったとしても、何の接点も信頼関係もない部外者の話はなかなか聞いてくれないものだ。だから最低限、実績とパイプの2つは、在籍中にしっかり磨き上げておくことが基本となる。

と言うと「会社勤めしているとなかなか社外との人脈ができない」とこぼす人もいるが、会社の看板を背負った状態で人脈が手に入らないような人は、会社の看板なしでは逆立ちしたって人脈なんてできないものなので、この際きれいさっぱり独立なんてことは忘れることをおすすめする。

フリーランスに向いている人、いない人

もう一つ、フリーランスで順調にキャリアを積み上げている人に共通するのは、「社内価値より市場価値が高い人」だということだ。

例えば、あなたが会社から年500万円のサラリーを受け取っていて、自身の実績に対しその額は妥当ではない、もっともらうべきだと感じているとしよう。でも人事部の人間にその旨を伝えても「そういうものだから」とか「例外は認められないから」といった理由で取り合ってはもらえないはずだ。

でも、その時に人事部の人間は、きっと腹の中でこう考えているに違いない。

「確かにあなたには年800万円支払う価値があるが、あなたを65歳まで雇用し続けるための将来的リスクを織り込まねばならないし、生産性の低い同僚の面倒も見てもらわないといけないから、500万円以上は払えないんですよ」と。

要するに、終身雇用にともなう“しがらみ”の分だけ損をしている人が、フリーになって成功しやすいということになる。逆に、自分はしがらみのおかげで守られている実感のある人は、少なくともフリーランスになって金銭的な意味で得をすることはないだろう。

むろんフリーランスにはデメリットもある。正社員と比べてずっと切られやすく、プロジェクト単位で業務請負する場合は数ヵ月程度という短い契約期間も珍しくない。安定とは程遠い働き方なのが現実だ。

だが逆に言えば、それこそがフリーランスの最大の武器でもある。新人をゼロから育てる余裕も、中途採用で正社員を採用する予算もない企業が、手軽にアクセスできるのがフリーランス市場だ。

まとめると、在職中に十分な実績と人脈を作り、市場価値で評価されることを希望し、流動性を楽しめる精神的な余裕のある人材というのが、フリーランスで成功できるビジネスパーソン像ということになる。フリーランスに関心のある人は、上記のチェックポイントを自身に照らし合わせてみるとよいだろう。

今回のポイント

クラウドサービスやテレワーク環境の整備によりフリーランス参入の敷居は下がり、人手不足を理由とした企業のアウトソーシング需要も高まっている。フリーランス市場は今後さらに成長が見込まれる。
フリーランスとして活躍している人の多くは、在社中に一定の実績を積み、独立後の取引先とのパイプを作っているものだ。
「社内価値<市場価値」という人は独立しても成功する可能性が高いが、逆パターンの人は少なくとも金銭的なメリットはない。
不安定さ(=流動性)こそが正規雇用にはないフリーランス最大の武器であり、それを気にしない精神的な余裕も必要だろう。
城 繁幸(じょう しげゆき)

城 繁幸(じょう しげゆき)

人事コンサルティング「Joe’s Labo」代表取締役。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。
人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種メディアで発信中。代表作『若者はなぜ3年で辞めるのか?』、 『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』、『7割は課長にさえなれません 終身雇用の幻想』、終身雇用プロ野球チームを描いた小説『それゆけ!連合ユニオンズ』等。

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