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若手のビジネスパーソンからしばしば受ける質問に「今の仕事に満足していないのですぐにでも転職したいが、最低限どれくらい我慢すべきか」というものがある。それに対する回答は決まっていて「とりあえず3年」というものだ。
これは筆者が以前にも述べた話で、なぜか日本企業の人事の間では“3年”という区切りで一つの職歴としてみなす慣行が昔からである。
とはいえ、自身が目指すキャリアと現職がまったくつながっていないことが明らかであるなら、3年を待たずに転職してしまっても問題ない。
だが、それでも「とりあえず半年ほどは全力で今の仕事に取り組んでみること」を筆者はおすすめしたい。どんなに自身の希望とかけ離れた仕事であれ、全力で取り組んで初めて見えてくるものもあるためだ。
以前、営業志望だったものの入社後に人事に配属され、転職を検討していた後輩がいた。「異動願を出して認められなければ転職するのもいいが、とりあえず半年ほど今のプロジェクトに全力で取り組んでから決めろ」というのが筆者から彼へのアドバイスだった。
結局、半年後にプロジェクトへの貢献を認められ、その影響もあって希望の営業部門に異動となったが、彼は、今では「人事とは社内に対する営業であることがわかり貴重な経験になった」と肯定的にそのキャリアを評価している。
また、筆者の知人の1人に(本人いわく“人事の本流”である)労務部門を外され、中高年の研修部署に異動となり腐りきっていた人間もいた。「どうせ辞めるなら最後に熱血教師にでもなった覚悟で、配置転換対象者を1人でも多く新しい職場に送り出してから辞めろ」というのが筆者のアドバイスだった。
彼は1年ほど研修を担当し、通常であれば半分ほど脱落する対象者の9割を新たな職場に送り出すことに成功した。「人を辞めさせるより前向きに変える方が楽しいことに気づいた」と言って、今でも現職にとどまっている。
上記のようなケースから言えるのは「本当に合うか合わないかは、全力で一定期間取り組んでみないとわからない」ということだ。真剣に取り組んでいるうちにその仕事の意外な魅力に気づいたり、実は自身の望むキャリアと細い道でつながっていることがわかったりするというのはよくある話だろう。
また、長い目で見てキャリアデザインという観点からも、そうした“寄り道”には無視できないメリットがある。例えば、ある人が、Aという仕事に就くことを理想としながらも、Bという仕事に半年間全力で取り組んだとする。
そこでたどり着いた「やっぱりBは自分に合わない」という結論には、最初からすんなりAの仕事に就く以上の価値があると筆者は考える。自分のキャリアはBではなくAだと100%の自信を持つことができるからだ。
実際、ビジネスパーソンで頭一つ抜きんでている人たちを見ても、20代前半から現在のキャリアに一本道で来ましたという人を少なくとも筆者はほとんど知らない。たいてい20代のうちは、あっちに行ったりこっちに行ったりしながら徐々に理想のキャリアを岩の中から削りだしていく、そんなイメージだ。
全力で一定期間取り組むことなく「合わないから」と早期離職してしまうのは、そうした“削りだし”を自ら放棄してしまうようなものだろう。
新卒にせよ中途採用にせよ、1年以内の早期離職にいたる場合、その責任の少なくとも半分は自身にある。なぜなら入社前にしっかり情報収集したり、面接で必要なやり取りをしたりすることを怠っているからだ。
やむを得ず早期離職するとしても、なぜ自分が判断ミスをしてしまったのか、しっかり反省して改善策を講じるべきである。
城 繁幸(じょう しげゆき)
人事コンサルティング「Joe’s Labo」代表取締役。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。
人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種メディアで発信中。代表作『若者はなぜ3年で辞めるのか?』、
『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』、『7割は課長にさえなれません 終身雇用の幻想』、終身雇用プロ野球チームを描いた小説『それゆけ!連合ユニオンズ』等。
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