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3割近くが収入減!残業代にはもう頼るな

社会全体で残業自粛の取り組みが進む中、すでに中小企業の3割近い労働者が残業代削減による収入減に直面しているとのデータ(※1)がある。

また、働き方改革法案成立により原則月45時間、年360時間の残業上限が導入された場合、労働者全体では2.6%の賃下げにつながるという試算(※2)も出されている。

そもそも、残業代はどういったメカニズムで支給されているのか。ビジネスパーソンは“減った残業代”をいかにして取り戻せるのか。いい機会なのでまとめておこう。

※1(29.4%「残業削減に関する調査:2018年 株式会社あしたのチーム実施」より)
※2(みずほ総合研究所調査リポート「みずほインサイト 2018.3.7」より)

サラリーマンが残業を減らすと損をするわけ

一般的に、ホワイトカラーは時間と成果が比例しないと言われている。本来は営業から企画職まで、あくまでもアウトプットに対して報酬が支払われるべきであり、労働時間の長短は評価対象とするべきではないだろう。
(もし時間管理が必要ならば別途タイムカード管理だけ行えばよい)

ところが、わが国では明治の工場法以来、東大卒の研究職まで時給管理される状況が続いている。長く製造業が経済のけん引役だったため、その影響が強く残ってしまっているわけだ。

とはいえ、ホワイトカラーが2倍の時間を働いたからといって2倍の成果が上がるわけでもない。では、どうやって残業手当を捻出しているのか。答えは単純に残業手当とセットで人件費の枠に収まるよう、あらかじめトータルの残業時間を見越して基本給を低く抑えているだけの話だ。

例えば、月50万円相当の働きをしている従業員の場合。基本給を25万円にして「80時間ほど残業すれば、残業手当+25万円で元が取れますよ」というのがほとんどである。効率的に働く者からすると損をするのだからこんな非効率な働き方はない。

よく「残業手当の割り増し分を重くすれば企業は残業抑制する」という人がいるが、実際はさらに基本給を抑えて残業代に回すため、より従業員を残業に駆り立てるだけの結果に終わるだろう。

働き方改革の影響で企業が見越していた残業時間が抑制され、残業手当として支給されていた分の賃金が受け取れなくなったというのが現状である。

時間ではなく成果で評価される時代に

ではビジネスパーソンは残業といかに付き合うべきか。まず、今後何が起ころうとも、少なくとも以前のように残業が上限無しで認められる環境に戻ることはあり得ないと筆者はみている。

基本給を低く抑えて残業手当で補填(ほてん)するような働き方はあまりにも非効率すぎるし、長時間残業の温床のひとつだからだ。はっきり言って企業側にも労働者側にも何のメリットもない仕組みだろう。

今後は企業間で温度差こそあれ、基本的には浮いた残業手当分が成果報酬になるのではないだろうか。実際、すでに働き方改革を先取りする形で抜本的な残業削減に成功している企業は、カットした残業手当分を基本給やボーナスへの成果報酬分として上乗せする形で従業員に還元する方式を取り始めている。

つまり、優秀なビジネスパーソンなら、会社からしっかり評価される成果を上げることに注力すべきだろう。

筆者自身も20代の頃に経験があるが、事務作業や資料作成といったルーチンワークはやればやるほど進捗状況がはっきりとわかり、さらに残業手当までもらえるため、それだけでいっぱしの仕事をした気分になってしまうものだ。

でもそれは本来のホワイトカラーの働き方ではない。その仕事は本当に意味があるのか、自分に与えられた本当のミッションとは何か。常に自問自答し付加価値の高い仕事に取り組むようになれば、主要先進国中最下位に低迷する日本の労働生産性も向上するに違いない。

今回のポイント
時給管理が一般的な日本では、時間と成果が比例しないホワイトカラーは、あらかじめ基本給を低く抑えられ、残業手当という形で残りの成果分を支給されている。残業自粛の流れでこの補填(ほてん)ができなくなったため収入減となってしまっている。
今後、浮いた残業手当分は成果報酬として支払われることになるだろう。そのために個人でより生産性の高い働き方を意識すべきだ。
城 繁幸(じょう しげゆき)

城 繁幸(じょう しげゆき)

人事コンサルティング「Joe’s Labo」代表取締役。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。
人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種メディアで発信中。代表作『若者はなぜ3年で辞めるのか?』、 『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』、『7割は課長にさえなれません 終身雇用の幻想』、終身雇用プロ野球チームを描いた小説『それゆけ!連合ユニオンズ』等。

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