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「転職したい会社ランキング」は鵜呑みにするな

毎年あちこちのメディアで「転職したい会社ランキング」的なものが発表されるのが風物詩となっている。社会人版の「就職人気ランキング」みたいなもので、学生と違って社会経験のある大人が選ぶ分、実態をよく表していると考える人も多いようだ。

ただ、筆者はああいう人気投票的なものはあくまで話半分に聞いておくほうが良いと考えている。いい機会なので、その理由をまとめておこう。

誰にとって"良い会社"なのか

「あの会社は良い会社だ」と社会人が口にする場合、たいていは「業績が上り調子だ」という株主目線や、「取引先として対応が優れている」というビジネス観点からの"良い会社"であることがほとんどだ。イコール"働きやすい会社"という意味ではない。

以前に筆者のオフィスに出入りしていたある運送会社は、朝8時前から夜21時過ぎまで同じ担当者が対応してくれ、サービスも実に丁寧なものだったが、後に会社ぐるみのサービス残業が常態化していたとわかって驚いたことがある。働き手からすれば、さぞや"働きにくい会社"だったに違いない。

また、人がなかなか集まらないからこそ"働きやすい会社"を実現できたというケースもある。小売業界では転勤のない地域限定社員や週5日未満勤務は珍しくないし、以前から独自に非正規雇用と正規雇用の同一労働同一賃金を進めるなど人事的には先進的な業界だが、その背景にあるのは慢性的な人手不足問題だ。

人手不足だからこそ、リタイアした高齢者や主婦層の活躍できるプラットフォームを整備し、結果的に万人が働きやすい職場を実現できたというわけだ。

良い会社の定義は人それぞれ

そもそも"良い会社"の定義は、人によって千差万別でありアバウトなものだ。給与こそ唯一絶対の基準だという人もいれば、自身の能力を認め積極的にミッションを与えてくれる企業が良いという人もいるだろう。夕方5時にきっちり退社できればそれでいいという人も最近は多い。

そういう人たちが各自の物差しで見て「良い会社だ」と思った企業に投票したのが、前述のランキングというわけだ。そう考えると、大勢の人から評価される要素はあるにしても、何をもって優れていると判定されているのかはまったくわからないランキングということになる。これが、筆者があの手のランキングは当てにするなという理由だ。

ランキングに捉われない、転職における自分の物差し

これはランキングに限った話ではないが、転職に際して口コミや評判を気にし過ぎる人には、自分の物差しが欠けているように思う。自分の物差しというのはキャリアデザインの設計図といってもいい、基本中の基本のものだ。

例えば「自分が求めているのは、自身の能力をしっかりと評価し重要なミッションを与えてくれる会社だ」という物差しがあれば、それをもとに希望のキャリアを描ける会社を選ぶことが可能だろう。

最後に、筆者が以前に知人から「転職ランキング上位の大手企業に転職したいがどうすればいいか」と尋ねられた時にしたアドバイスを参考までに紹介しておこう。

「まず、自分が何を求めて転職するのかを徹底的に掘り下げてから、それが高いレベルで実現できそうな会社をじっくり探すといい。そうすれば結果的に、ランキング上位の会社に入社する以上の満足感が得られるだろう」

今回のポイント
「転職したい会社ランキング」のようなものは、外から見た印象や株主目線での評価がほとんどであり、必ずしも働きやすい会社だとは限らない。
そもそも"良い会社"の定義は人によってさまざまだ。他人の口コミではなく自身の物差しで決めるべきだろう。
まず自身の求めるもの、キャリアデザインを描いたうえで、それが実現できる会社を選べば、ランキング上位企業に転職する以上の満足感を得られるはずだ。
城 繁幸(じょう しげゆき)

城 繁幸(じょう しげゆき)

人事コンサルティング「Joe’s Labo」代表取締役。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。
人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種メディアで発信中。代表作『若者はなぜ3年で辞めるのか?』、 『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』、『7割は課長にさえなれません 終身雇用の幻想』、終身雇用プロ野球チームを描いた小説『それゆけ!連合ユニオンズ』等。

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