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いますぐメガバンクから転職すべきか

昨年メガバンク各行が立て続けに1万人規模のリストラを発表し、大きな話題となっている。リストラと言っても直接クビを切るタイプのものではなく、あくまでも「新規採用抑制による長期的な人員削減および、AI等活用による事業見直し」とマイルドなものだが、銀行員個人のキャリアに与える影響は無視できないだろう。

メガバンク在職中のビジネスパーソンは、いかにしてこの荒波を乗り切るべきだろうか。良い機会なのでまとめておこう。10年先の読めない時代、他業種で働く人も決して他人事ではないはずだ。

クビ切りなしでもキャリアパスは激変する

まず、銀行員のキャリアパスはどう変わることになるのか。新規採用を減らすということは、もはや年功序列によってポジションが上がっていくことはないということを意味する。課長→支店長代理→支店長といった具合に勤続年数に応じて高く安定した処遇は少なくとも今後は期待できないということだ。

また事業見直しにより支店統廃合も進むだろうから、管理職ポスト自体も大きく減ることになるだろう。これにより雇用自体は安定しているものの、複数の支店でローテーションしながらさまざまな経験を積む、という総合職キャリアパス自体も消失すると思われる。

そうなれば「今の担当業務をずっと続ける」というジョブ型の組織に近づくことになる。小売業などサービス業のキャリアパスに近いイメージだ。長く勤める意義が薄れるため、組織全体での離職率は上がるだろう。

フォローしておくと、それをもって「メガバンクの凋落(ちょうらく)」といったふうにとらえるのは誤りだ。むしろ、従来のように「新卒一括採用で採用した人材を純粋培養し、年数をかけて組織に特化した均質な人材育成をする」方が異常だったのであり、そういう意味では「メガバンクの正常化」というべきだと筆者は考えている。

ただ、個人のキャリアデザインは大きく変わるはずだ。会社に言われたとおりにミスを犯さぬように働いていれば一定の処遇が保証されるという状況は消え、各人が自身のキャリアデザインを行わねばならない時代がやがて到来するはずだ。

あえて、ひと呼吸置くのも手

基本的にこれからの日本の労働市場は"社名"ではなく"仕事内容"でワークする方向に進んでいくので、35歳以下の若手は、これまで培ったスキルをベースに仕事内容で今後のキャリア設計を行っていくべきだろう。それが銀行の中で実現できるならそのまま働き続ければいいし、そうでないなら早期に転職活動を開始すべきだ。

一方で40代以上のベテランはどうすべきか。むろん「雇用自体は保証されるだろうからあえて飛び出す必要などない」というのもアリだろう。でも、かつて就職人気ランキング上位の常連だったメガバンクには、あくまで能力で勝負したいと考えるベテランも少なくないはず。

ちなみに筆者は先日、新卒以来メガバンクで働く同期の1人に、あえてそのまま残るようアドバイスをした。理由は簡単で、本人が何の仕事をやりたいか、自分には何ができるのかがまだよく見えていないためだ。動くのはそれらがはっきりしてからでも遅くはない。むしろ、今後大きく変革することを余儀なくされる金融業にいた方が、それらがはっきり見えてきやすいだろう。

以前も述べたように、人手不足が深刻化する中、40代以降の転職事例が増加している。40代以降での転職でうまくいくのは、自身の専門性をよく理解し、それを新たな環境で活かせる柔軟性を持った人材だ。だったら焦って退職なんてことはせず、会社から給料をもらいつつ、まずはそうした人材になるための"修行"をするべきだというのが筆者のスタンスだ。

今回のポイント
メガバンクのリストラはマイルドなものだが、個人のキャリアパスが大きく変わることになる。今後は総合職的キャリアパスからジョブ型のそれに切り替わるはずだ。
これからの日本の労働市場はジョブ型の方向に進んでいくので、転職を希望する若手はそれを意識した転職活動を心掛けるべきだ。
40代以上のベテランは、自身の専門性とそれをどう活かしていくかが見えてくるまで、修行と思って残るべきだ。ジョブ型に移行することで、35歳転職限界説は形骸化しつつある。焦る必要はない。
城 繁幸(じょう しげゆき)

城 繁幸(じょう しげゆき)

人事コンサルティング「Joe’s Labo」代表取締役。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。
人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種メディアで発信中。代表作『若者はなぜ3年で辞めるのか?』、 『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』、『7割は課長にさえなれません 終身雇用の幻想』、終身雇用プロ野球チームを描いた小説『それゆけ!連合ユニオンズ』等。

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