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転職活動を在職中に行うべき理由

しばしば一流のビジネスパーソンが口にする転職の作法に「転職活動はできれば在職中に行うべきだ」というものがある。筆者もほとんど同じ意見だが、筆者であれば「できればではなく、なんとしてでも在職中に内定まで獲得すべき」というだろう。

それくらい、在職者と離職者の転職活動には大きな差が出るものだからだ。というわけで今回は、「極力、在職中に転職活動をするべき理由」についてまとめておこう。

要らぬ勘繰りをされないため

具体的な実務経歴やスキルはごまかしようがないので、逆に言えばそこは在職中だろうが離職中だろうが影響はない。問題なのは本人の人間性に関してで、一般的な人事担当であれば「なぜこの人はこれだけ立派な職歴がありながら離職してしまったのだろうか。スキル以外で何か問題があるのではないか」と疑ってかかるだろう。

筆者自身の経験でも「離職後に転職活動していた人材」には、スケジュール管理といった自己管理ができないタイプ、前職で様々なトラブルを起こしていたトラブルメーカー等、一見優秀に見えても諸々の問題を抱えた人材が多かったように思う。同様のバイアスをもって面接に臨む人事担当は少なくないはずだ。

心の余裕=面接での高評価だから

職に就いておらず貯金が減る一方の人間は、どんなに優秀であっても必ず焦燥感のようなものを感じているものだ。そういう状況で面接に臨めば、本人は萎縮し、言いたいことの半分も言えずに採用サイドの人間に迎合してしまう可能性がある。これはプロフェッショナルとして選考に臨む必要のある中途採用面接では一番やってはいけないことだ。

新卒採用と違い、中途採用は事業部のプロや人事のプロが各分野の“プロフェッショナル”を見極めるための場だ。いわばプロとプロが真剣に向き合う場であり、だからこそ勤務条件や待遇など具体的な交渉も行われることになる。そういう場で「人当たりがよく何でも頷くだけの人」というのは単に自己主張ができないか意思がない人材というレッテルを貼られるかもしれない。

逆に在職中の人、中でも現職で高い成果を上げている人材は、5分話しただけでわかるほど余裕があり、待遇面での交渉も強気で押してくるものだ。そういうプロフェッショナルこそ会社が求めている人材だとわかっているから、人事担当も悪い気はしないものだ。

ノーリスクで確実にリターンが得られるため

そして、筆者がもっとも「在職中の転職活動」を推す理由は、それがノーリスクで確実にリターンが得られる行為からだ。毎月給料が振り込まれる身分なのだから、「運命の会社だ」と腹の底から納得できる求人に巡り合えるまで何度でも面接を繰り返せばいい。その意味でまずリスクはない。

と書くと確かにリスクもないがリターンもないではないか、と考える人もいるかもしれない。だが、準備・面接・結果のフィードバックという一連のプロセスを経験してみれば、実はそれ自体が有用なキャリアデザインであることがわかるはずだ。

例えば、じっくり半年かけて3社ほど中途採用面接を受け、うち2社から不合格、1社からは好感触を得たものの実際の業務内容と希望にギャップがあったため辞退したとしよう。転職コンサルタントにキャリアの棚卸しをしてもらうことで、自分が身を置く業界で自身がどれだけの評価をされているのかが理解できただろう。

そして、結果について転職コンサルタントにフィードバックしてもらうことで、自身に何が足りないのか、どこが強みなのかが把握できたはず。また、実際の面接に臨むことで、会社の枠を超えて業界全体のトレンドがどういうものであるのかも肌で感じられたに違いない。

それらをしっかり自分の血肉にできれば、次に進むべき方向がはっきりと見えてくるはずだ。それは立派なリターンと言っていいだろう。

今回のポイント
転職活動は極力在職中に行うべきだ。離職中に面接に臨めば、自己管理能力など人間性になにかしら難があるのではないかと勘繰られる恐れがある。
在職中の人材は面接でも常に余裕があり、プロとして企業と対等に交渉が行える。プロが欲しい企業もそういう強気の人間は嫌いではない。
転職活動の結果にかかわらず、活動を行うこと自体が立派なキャリアデザインになる。
城 繁幸(じょう しげゆき)

城 繁幸(じょう しげゆき)

人事コンサルティング「Joe’s Labo」代表取締役。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。
人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種メディアで発信中。代表作『若者はなぜ3年で辞めるのか?』、 『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』、『7割は課長にさえなれません 終身雇用の幻想』、終身雇用プロ野球チームを描いた小説『それゆけ!連合ユニオンズ』等。

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