転職ノウハウ

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ストレスに悩むくらいなら転職しろ

どんなに刺激的な仕事であろうと高給が伴おうと、一定のストレスは必ずついてまわるものだ。 その意味で、ストレスコントロールはビジネスパーソンの必修科目と言えるかもしれない。

ちなみに筆者自身の場合、小さなことはすぐに思考から押し流し、 常に俯瞰(ふかん)的な視野(例えば地球全体から見れば取るに足らないことだと考える)を心がけるようにしている。

とはいえ、組織の一員として働く以上、そうしたテクニックではいかんともしがたいストレスもあるだろう。 もはや個人ではコントロールしきれないレベルまでストレスをため込んでしまったなら、 筆者は、スパッと転職することをおすすめする。理由は、それが世界標準の考えだからだ。

“仕事を好きになろう”とする日本人

日本企業は終身雇用を前提とし、採用時に具体的な職務内容を決めず、配属後に各職場で適性を見つつ、 具体的な担当業務を決めていくスタイルが主流だ。新卒が一括採用なのも、選考基準がポテンシャル重視なのも、 すべてそうした曖昧なキャリアパスにマッチするようデザインされているためだ。

中途採用ではさすがにある程度具体的な仕事内容は詰めるが、それでも時間が経つうち、 組織の都合に応じて異動や職種転換などで業務も環境も大きく変わることになる。 つまり、組織重視の日本企業においては、もともと個人はストレスを抱え込みやすいという土壌があるということだ。

職務記述書を取り交わしたうえで入社する他の先進国ではそういう習慣は無い。 仮に自分には仕事や職場環境が合わないとわかれば、さっさと転職もする。 「好きなことを仕事にする」のではなく「仕事を好きになろうとする」のは、筆者の知る限り先進国では日本人だけだ。

そうして「組織から与えられた仕事」を我慢して続けた結果、日本人の労働観はすごい惨状を呈している。 今年(2017年)、米ギャラップ社が行った調査によれば、日本における「仕事に対し熱意あふれる社員」の割合はわずか6%と、 調査対象139カ国中132位だった。

こうした傾向は割と人事の間では有名な話で、 筆者の知る限り90年代から同種の調査で似たような結果が続いている。 やはり人間は人から与えられた仕事には満足できず、ストレスを感じてしまうのだ。

その転職活動は逃げでなく当然の行為だ

就職氷河期のような時代ならともかく、未曽有の人手不足が叫ばれる今こそ、 筆者は、ビジネスパーソンはもっとワガママに、自分自身に正直になるべき時だと考える。 仕事や職場環境が自分に合わないと感じている人は、積極的に転職市場を活用すべきだ。 それは逃げでもなんでもなく、世界的に見れば当たり前の行為でしかない。

また、そうして多くのビジネスパーソンが自身のキャリアデザインに沿ってどんどん転職するようになれば、 上記の“熱意ランキング”も上昇し、長く低迷を続ける日本人ホワイトカラーの生産性も上昇するに違いない。 それは同時に、熱意ある働き手をつなぎとめるために、企業に必要な制度改革を行うよう後押しすることにもつながるだろう。

ストレスの原因を見誤ることなかれ

ただし、ストレスの原因については、見誤ることの無いよう慎重に判断すべきだろう。 以下は筆者の知る、ストレスの原因を見誤った典型的なケースだ。

◎営業に向いていないと思い、管理部門に転職した後になって、
ストレスを感じていたのは上司との人間関係だったことに気づいたケース

◎仕事で成果が出せず、仕事そのものにストレスを感じるようになって転職したが、
評価制度の雑な運用が原因だったケース

◎残業の多さをストレスに感じ転職したが、新しい職場でも残業が日常化。
結局、自身の仕事の進め方に問題があったケース

いずれのケースでも転職後3年も経たずに離職しており、 できることなら職歴に書きたくない黒歴史となってしまったはずだ。 筆者は、日本人は我慢せずにどんどん転職すべきだと考えるが、きちんと動機を整理し、 しっかりした転職プランを立てる手間を掛けることだけは我慢してやってほしいと思う。

今回のポイント
キャリアや就労条件で会社の権限が強い日本企業においては、従業員はストレスを抱え込みがちだ。世界的に見ても日本人の仕事に対する熱意はとても高いとは言えない。
人手不足の今、優秀なビジネスパーソンはもっとワガママに振る舞おう。それが日本人の熱意と生産性を高め、流動的な労働市場の整備へのつながる近道だ。
とはいえ、しっかりした転職プランを立てるまでは我慢も必要ではある。
城 繁幸(じょう しげゆき)

城 繁幸(じょう しげゆき)

人事コンサルティング「Joe’s Labo」代表取締役。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。
人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種メディアで発信中。代表作『若者はなぜ3年で辞めるのか?』、 『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』、『7割は課長にさえなれません 終身雇用の幻想』、終身雇用プロ野球チームを描いた小説『それゆけ!連合ユニオンズ』等。

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