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転職に際して感じる不安の正体と解消法

転職活動の末に無事内定はもらえたものの、いざ現職に退職願を出す段になって急に不安が頭をもたげるという人は少なくない。 中にはそれで内定辞退する人もいるほどだから、一度不安の正体を整理しておくのもいいだろう。

根拠のない不安は単なる“慣れ”の問題

最も多い不安は、特に根拠はないけれども今の職を離れることに対して根強い不安を感じるというものだ。 転職でなくとも転勤や異動でもよく見られる。一つの部署で同じ業務を10年以上続けてきたような人にありがちな不安だ。 原因は、あまりにも一つの仕事や環境に対して慣れ過ぎてしまい、モチベーションや変化に対する耐性が極めて低い水準となってしまっていることによる。

自分でどんどん課題や目標を見つけて取り組んでいける人材が理想だが、 大多数の人は業務に慣れると考えずにルーティンワークとして処理するようになるものだ。 すると、環境の変化に直面した際に高いストレスを感じることになる。 人事部もそれはよく分かっているから、定期的な異動やローテーションが行われるわけだが、 それでもやはりすべての人が常にリフレッシュされた状態で日々の仕事に向き合えているわけではない。

キャリア的に申し分ないし、面接でも高い評価を得ていた人材が、転職後半年ほどでメンタルトラブルを起こして休職に、 というようなケースは意外と多いが、これは本人が転職に伴うストレスをうまく乗り越えられなかったことが原因だろう。

そういう「人材の低体温化」を防ぐには、日頃から意識して何か新しいことに取り組む姿勢がとても重要だ。 筆者の経験上、仕事以外でも趣味や人付き合いで積極的に活動している人は、そうした低体温化とは無縁のように見える。 とにかく日常の中に変化を取り入れることが重要だろう。

自身の専門性に自信がない場合は、“認識”の問題

次に、自身の専門性に自信がないというケースも多い。ポテンシャル採用など、経験年数が浅いケースの場合は、 当然の不安と言えるが、中には直近の経験が別職種である場合など、実務経験は豊富であっても不安を感じるケースが実は多い。

結論から言えば、全く何の心配もいらない。というのも、そもそも「在籍中、ずっと一つの職を務めあげている大ベテラン」なるものは、 決して多いわけではないからだ。 日本企業では定期的な異動やローテーションが行われる場合も多いため、 キャリアに幅が出るのは決して珍しいことではない。

むしろ、総合職として部長級以上のポストを目指すのであれば、ある程度幅のある職域を経験していないと不利になる企業の方が多いように思う。 例えば採用しか知らない人間は採用課長止まりで、採用に加えて勤労や制度企画を経験してようやく人事部長が見えてくるといったイメージだ。

逆に、一つの職種を務めあげてきたという場合は、これまでの自身のスキルを業務ごとに分解して棚卸しすることをおすすめしたい。 一つの職種といえども複数の業務が多角的に絡み合うことで成立していることがほとんどだ。 その一つひとつを紐解くことで専門性の幅に気づき、改めて自信を持つことができるだろう。

また、いずれの場合も、長期雇用が前提の日本企業を想定するなら、 転職後もやはり会社の都合でいろいろな業務を経験することになるだろうから、 柔軟性をもって新しい環境に臨むべきだろう。

日本企業の採用担当者の視点として、あまりにも一貫したキャリアの求職者に対しては、 そうした一貫したキャリアが入社後も提供できるか不安になることがままあるものだ。 そういった例にも表れているように、日本企業の場合は、良くも悪くも組織のために何でもできる柔軟性はどこへ行っても要求されるだろう。

そして、最も大事なのは、日頃から課題を見つけたり新たなアプローチを試したりするよう心がけ、 担当する業務の幅を楽しむ余裕を持つこと。それだけで転職に際しての不安はだいぶ軽減されるに違いない。

今回のポイント
人は仕事に慣れると頭を使わずルーティンワークとして処理しようとし、モチベーションや変化に対する耐性が低くなってしまう。 そうした状態が長く続いた場合、転職に際して不安やストレスを感じることとなってしまう。
「自分は専門性が弱いのではないか」といった不安は杞憂(きゆう)だ。そもそもキャリアに幅が出ることは珍しいことではないし、 必ずしも会社は一芸だけを極めた人材を求めているわけではない。
日頃から意識して変化を受け入れ、業務の幅を楽しむ余裕を持てれば、転職に際して無用の不安も持つこともないだろう。
城 繁幸(じょう しげゆき)

城 繁幸(じょう しげゆき)

人事コンサルティング「Joe’s Labo」代表取締役。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。
人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種メディアで発信中。代表作『若者はなぜ3年で辞めるのか?』、 『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』、『7割は課長にさえなれません 終身雇用の幻想』、終身雇用プロ野球チームを描いた小説『それゆけ!連合ユニオンズ』等。

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