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会社が倒産しかけたらどうすべきか

ここ10年ほどで、“大企業神話”はすっかり色あせたものとなったように思う。日本を代表する大企業であっても早期退職や事業売却を通じたリストラを行う会社は珍しくないし、看板だけ残して外資傘下に入った企業もある。そして、今まさに、つい数年前まではグローバル化の勝ち組のようにもてはやされていた歴史ある大企業が存亡の危機を迎えている。

「一度入社してしまえば何があっても定年まで雇用が保証される」と言い切れる会社は日本にはもはや存在しないと言っていい。

ただし、何かが崩壊する時は、必ず新しいモノや変化が生じる瞬間でもある。今回は危機をチャンスに変えるポイントについて簡単にまとめておこう。

経営危機は転職のチャンスでもある

実は、有名企業が経営危機を迎えているようなケースでは、水面下でちょっとした“中途採用バブル”が起きているものだ。同業他社はもちろん、畑違いではあるが必要なスキルを持つ人材が欲しいとか、人材的に優秀なはずだから何人か採用したいとか、そういった他社が、普段は出していない求人を紹介会社などにまわすケースが急増するためだ。なので、恐らく平時に紹介会社に登録するよりも、転職志望者は、はるかに豊富な求人案件から選択をすることが可能となる。

また、採用する側としてもすんなり内定を出しやすい。「会社が経営危機だから」という明白な動機が理解しやすいためだ。たとえば、意地の悪い人事なら、ちょっと有名な企業から転職志望者がくれば「なぜわざわざ転職する必要があるのか、本人になにか問題があるのではないか」と動機の部分が気になって仕方ないものだが、そうしたいらぬ詮索をされることもないだろう。

実際に転職をするのであれば、早く決断する方がいい。というのも、いよいよ会社がにっちもさっちもいかなくなってから動いてしまうと、同じような職歴、スキルを持ったライバルが一気に労働市場にあふれてしまうためだ。先に決断できた人間から順に条件の良い椅子は埋められていくことになる。

とはいえ事前準備は必須

ただ、行き当たりばったりで転職するのは筆者もすすめない。自らのキャリアの棚卸をし、労働市場における値付けを確認し、複数の選択肢の中から選択すべきだろう。転職して後悔するパターンというのは、たいてい準備不足で勢いでしてしまったようなケースだ。そうした失敗を避けるためにも、最低でも半年、できれば1年以上かけるのが望ましい。いきなり不渡りを出して倒産なんてことは稀で、だいたい経営危機というのは1年以上前から空気でわかるはずなので、それくらいの準備期間は確保できるはずだ。

大企業の社員ほど危機に対する備えは必要

実は、今のような時代になると、大企業ほどキャリア形成という点では不利になるリスクがある。なまじ安定している分、自社に特化した形で人材育成をしてしまうためだ。たとえばジョブローテーションで複数の部門を経験させれば、自社に精通した中間管理職候補としては適材かもしれないが、必ずしもそうしたゼネラリストが転職市場でニーズがあるとは限らない。

実際、40歳で初めて転職活動をしたものの、同じ業種であってもまったくスキルや職歴が異なっていてなかなか話が進まないという人は少なくない。「大企業出身でプライドが高いからだ」的な意見も聞くが、 実際には旧来型人材育成システムの中で育った人材には共通する傾向だと考えられる。

逆に、中小や新興企業出身で何度も転職しているような人は、自然とスキルがポータブルに磨かれており、すんなりと次の転職先が見つかったりもする。

「もし、一年後に会社が倒産するとしたら、自分にはどういう選択肢があるのか」

どんな大企業に勤めているビジネスパーソンであっても、そうしたイメージは常に持っておくべき時代だろう。

今回のポイント
ある会社の経営危機は、別の会社にとってはチャンスでもある。同業他社や畑違いの会社への転職機会として活かすことで乗り越えることは可能だ。
いよいよ倒産間近になってからの転職は転職市場にライバルがあふれ、良い求人も既に埋まっているかもしれない。準備不足の転職はすすめないが、決断するなら早い方がよいだろう。
なまじ安定した組織ほど、組織に特化した人材育成がされているリスクがある。大企業に勤める人間であっても常に市場価値を意識し、将来起こり得る危機に備えておくべきだ。
城 繁幸(じょう しげゆき)

城 繁幸(じょう しげゆき)

人事コンサルティング「Joe’s Labo」代表取締役。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。
人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種メディアで発信中。代表作『若者はなぜ3年で辞めるのか?』、『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』、『7割は課長にさえなれません 終身雇用の幻想』、終身雇用プロ野球チームを描いた小説『それゆけ!連合ユニオンズ』等。

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