転職ノウハウ

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同期の年収がみんな自分より高かったらどうすべきか

年末年始やお盆には、ひさしぶりに学生時代の友人たちと会うという人もいるだろう。当然、互いに社会人として近況報告もするはずだ。そういった集まりに際して「どうも友人らの方が自分よりずっと成功しているようだ」と感じてショックを受けてしまう人は意外に多い。

中には完全にモチベーションを喪失したり、慌てて転職活動を開始する人もいるから、年明けやお盆休み明けは、人事にとって実は要注意シーズンと言える。ただ断言するが、そうした理由から転職したとしても、成功する可能性は限りなく低いものだ。今の自分が成功には程遠いと感じたのなら、転職より前にすべきことがある。

他者との相対的な距離感だけに頼るな

そもそも、他人の成功を聞いて動揺する人にはある共通点がある。それは、自己の立ち位置を他者との相対的な距離感のみで測ろうとする点だ。

というとなんだかよくわからないという人も多そうだが「流行に遅れないように服や髪型を周囲に合わせる」と言えば誰でも多少は思い当たるはず。キャリアでいうと「できるだけ偏差値の高い大学に進学し、できるだけ大きくて有名な企業に就職すること」ということになる。

こうした選択をする人には、学歴や会社名という入れ物はあっても、何を学びたいか、何の仕事をしたいかという中身がない。だから、一見安定しているように見えても、同窓会などで他者との距離感が狂うととたんに不安にさいなまれることになる。

「自分は本当に正しい選択をしたのだろうか。自分は失敗したのではないか」しかしその時点では中身がない以上、慌てて舵を切っても船はさらに揺れるだけだ。まず何よりも、自身が向かう針路を決め、そのために必要なスキルを磨くのが先だろう。

と、偉そうなことを書いてはみたが、筆者自身も「人に負けない大学に入り、有名企業に就職する」レベルの人生を20代の半ばまでは送ってきた一人である。だからこそ、そうした生き方の限界がよくわかるのだ。

モノサシは自分の中に作る

では、転職より前にすべきことは何だろうか?まずは、自分がこれからどういうキャリアを身に付けたいか、5年後、10年後にどういう仕事をしたいかを決める。具体的に目標とするビジネスパーソンを選んでもいい。そして、そのためにはどういったスキルや経験が必要かを一度しっかりと整理してみることだ。

そうすれば、ゴールと今の自分との距離感がだいたいつかめるだろう。それこそが本当に必要な“モノサシ”だ。

そのモノサシをしっかり作れている人は、友人知人の華やかな成功譚を聞いても揺り動かされることはない。また、転職するにしても明後日の方向に流されて後で悔いることもないはずだ。

単年度あたりの給料の比較には意味がないワケ

とはいえ、やっぱり他人の給料も気になるという人もいるだろうから、給料の見方についても最後にフォローしておこう。実は、日本企業の正社員の年収を比較することにはほとんど意味がないというのが筆者のスタンスだ。

日本企業のほとんどは勤続年数に応じて少しずつ昇給する職能給であり、若いころは安く、45歳以降に報われる賃金制度だ。だからその中の1年間だけ抜き出していくらもらったかを比べてもあまり意味はなく、生涯でいくらもらえるかを比較するしかない。そしてそれは誰にもわからない。

「よく経済誌で生涯賃金ランキングのようなものがあるではないか」と思う人もいるだろうが、あれはその時点で各年代の従業員の賃金を足したものだから、10年先20年先、今の40~50代並みに昇給している保証はどこにもない。

例えば、地盤沈下し続けている業界の企業に今から新入社員として入社しても、彼ら彼女らが30年後に直面する状況は、高給取りの今の上司とはまったく別のものだろう。

あえて他者と比較するのであれば、筆者なら「仕事のグレード」を比較する。専門性はどの程度必要とされているか、リーダー、マネージャー的な権限はどれほどあるかetc.

仮に転職市場に打って出たとして、グレードの高い仕事をしている人材であれば、それだけ高い値札が付く可能性が高い。リアルタイムで手にできる値札の方が、単年度の年収などよりずっと有意義な指標であるはずだ。

今回のポイント
他者との比較だけで生きている人ほど、友人知人の年収や成功譚に惑わされてしまう。とにかく良い大学に、そして大企業に入ることを目標としてきた人ほど、こうした傾向は強い。
他者との比較に終わりはない。よきビジネスパーソンなら、自身のキャリアの目標と今の自分との距離感=モノサシは自己の中に築くべきだ。
日本企業の単年度の年収比較にはほとんど意味がない。それよりも仕事のグレードで比較する方がずっと有意義だ。
城 繁幸(じょう しげゆき)

城 繁幸(じょう しげゆき)

人事コンサルティング「Joe’s Labo」代表取締役。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。
人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種メディアで発信中。代表作『若者はなぜ3年で辞めるのか?』、 『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』、『7割は課長にさえなれません 終身雇用の幻想』、終身雇用プロ野球チームを描いた小説『それゆけ!連合ユニオンズ』等。

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