転職ノウハウ

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ワンランク上の人材になるために意識しておくこと

日ごろ、さまざまなキャリアの方と接していると、面白いことに気づく。職種や年齢を問わず、その組織の中で一定以上のポジションと評価を得ているビジネスパーソンには、ある種の共通したものの見方があるということだ。

とりあえず、ここでは彼らのことを“エリート”とでも呼ぶことにしよう。

エリートほど残業にも残業手当にもこだわらない

まずエリートは残業手当を気にしない。久々に会っても彼らエリートは「いやあ、昨日も徹夜でさあ」なんて愚痴らないし、「先月150時間も残業したよ」なんて自慢もしない。

もちろん、翌月の給与明細を見て残業手当の額を見て満足するなんてことも(たぶん)ない。彼らが気にかけているのは、常に自分のパフォーマンスのみだ。

「それは彼らがストイックだからだろう、つまり性格の問題にすぎない」なんて思う人もいるかもしれないが、それは違う。

大卒のホワイトカラーであれば、99%の人間は、労働時間が成果に比例しない仕事に携わっているはず。そういうホワイトカラー職まですべてひっくるめて時給管理させている現在の労働法制の方が異常なのであり、時間外手当は矛盾した存在だという事実に、彼らは本能的に気づいているのだ。

わかりやすいケースで説明しよう。会社があなたに用意できる人件費は、あなた自身の生産性によってすでに決まっている。何百時間残業しようが徹夜しようが、付加価値を上げない以上はその金額は変わらない。

にもかかわらず、残業手当として支給させればどうなるか。会社はシンプルにあなたの基本給を抑制し、ボーナスを大幅にカットし、トータルで帳尻を合わせるだけのことだ。

結果、賃金水準は変わらないけれどもめいっぱい残業しないといけない状態になり、自己啓発やスキル習得等のキャリアアップの時間が減って長期的なキャリアデザインとしては明らかにマイナスだろう。

となれば、賃上げを勝ち取る方法はただ一つ。せこせこ残業なんかしてないで、自分でスキルアップするなり転職するなりして、よりよい処遇を自分で勝ち取る努力をすることだ。

もちろん、職場の誰よりも長く残業すれば自分の付加価値以上の賃金を時間外手当として獲得できるだろうし、ひょっとすると昭和ノスタルジーな経営陣に気に入ってもらえるかもしれない。しかし、そういう人間の労働市場の評価は絶望的に低いものだし、何より人生の浪費だと筆者は考えるのでオススメはしない。

エリートはリストラに寛容だ

続いて、エリートは配置転換や早期退職、あるいはもっと泥臭い“追い出し部屋”といったリストラについておおむね寛容だ。なぜなら、彼らは個人の持続的な成長のためには常に一定の新陳代謝が必要であり、それは組織についても同様であると理解しているためだ。

また、個人の報酬という面でも、定期的にリストラや構造改革に取り組んでくれる企業はありがたい存在だ。

筆者自身もこういう組織にいたから痛いほどよくわかるが、将来性の絶望的な事業で働く人員や、生産性の低い同僚の雇用を維持するためのコストを負担しているのは、その他の従業員である。90年代後半以降、日本全体の賃金水準が低下したのは、多くの日本企業がそうやって無理やりに雇用を維持した結果だ。

その中で皆と一緒にデフレ生活の苦楽を共にするというのも、選択肢としてはありかもしれない。でも、定期的にリストラを実施してくれる、つまり雇用より賃上げを優先してくれるより健全な組織に移れば、デフレ社会の中で個人だけ“脱デフレ”できるという非常に美味しい生活が待っているのだ。

50インチ超の液晶テレビが20万円を切り、失業率も低く保たれている社会というのは、個人で脱デフレした人間にとっては実に快適な社会だ。というわけで、本当のエリートなら政府になんぞ期待せず、自分の能力でさっさと脱デフレすることをオススメしたい。

俯瞰的な視点を持てるかどうか

逆に残念な人ほど、見事に自分の周囲3メートルの出来事しか目に入っていないように見える。

「リストラをやらない会社を教えてください」と目を輝かせて聞いてくる若者は、自らがそうした企業から要求されるであろう役割が、赤字部門を支える兵隊にすぎないということに気づいていない。「人に優しい経営」なるものを熱っぽく語りたがる人は、ダメ社員でも皆に食わせるシステムに魅力を感じているダメ社員予備軍ですと宣言しているようなものだ。

エリート特有の姿勢を最後に一言で説明するなら、「俯瞰的に組織全体を眺められる視点」を持っているとでも言えるだろう。

自分が組織の中でどれくらいの生産性を上げているか、それは労働市場全体ではどのくらいのポジションなのか。自分は“手当”として月にいくらもらっているけれどもその原資を負担しているのは誰か。常にそうした点を意識しながら働くことこそ、“エリート”への第一歩かもしれない。

今回のポイント
どの組織でも一定以上のポジションにいる“エリートたち”には、共通したものの見方がある。
エリートは成果こそ重要であると理解しているため、残業代なんていちいち気にかけない。
エリートは成長には新陳代謝が必要であると理解しているため、リストラにも寛容だ。
自分の周囲だけでなく、経営的、俯瞰的な立場で物事を判断できるかどうかが、エリートとしてのキャリアを手にできるかどうかの分かれ道である。
城 繁幸(じょう しげゆき)

城 繁幸(じょう しげゆき)

人事コンサルティング「Joe’s Labo」代表取締役。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。
人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種メディアで発信中。代表作『若者はなぜ3年で辞めるのか?』、 『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』、『7割は課長にさえなれません 終身雇用の幻想』、終身雇用プロ野球チームを描いた小説『それゆけ!連合ユニオンズ』等。

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