特集

転職ノウハウ

実務経験のない求職者が大満足したコンサルタントのチャレンジングなサポートとは?

今回のコンサルタントは、ヒューマンタッチ株式会社(現:ヒューマンリソシア株式会社)の岩崎 晴香さん(以下敬称略)です。 同社が得意とする建設業界へ実務未経験者を導いた、チャレンジングなサポートを振り返っていただきました。

求職者プロフィール
Mさん、男性。転職当時30代前半。高校卒業後、派遣スタッフとして工場のライン作業を1年、運送会社にて倉庫作業・ドライバーを2年経験後、耐震診断を行う会社に就職。手に職をつけたい、カタチに残る仕事をしたいと、未経験でありながら建設業界への転職にチャレンジした。
cross
紹介先企業プロフィール
テナントビルや集合住宅などを主に手掛けるS社。震災復興事業や2020年のスポーツイベントに向け、建設ラッシュのなか業界全体が深刻な人材不足に。同社でもやはり、採用、育成、定着が大きな課題となっていた。

建設業界は、今が狙い目!?

――今回の求職者のMさんは、転職当時30代前半で建設業界での実務経験もお持ちではありませんでしたよね。一般的に未経験者の建設業界への転職は難しいように思うのですが、どうだったのでしょうか?

岩崎:後から思えばスムーズだったと言えますが、今回の紹介先であるS社さまには、実務未経験者の採用実績がなく、チャレンジングなサポートだったと思います。

――昨今、建設業界の人材不足をよく耳にしますが、そのような状況がMさんの転職に追い風になったのでしょうか?

岩崎:そうですね。ご存じのとおり、景気回復により業界を問わず多くの企業が人材採用に積極的になっており、建設業界でも採用は非常に苦戦しています。もちろん少子化の影響による若年層の採用もほかの業界と同様に課題となっています。

そのような課題に併せ、建設業界では、2011年の東日本大震災以降の復興事業や2020年のスポーツイベント開催によりニーズが高まり、仕事の依頼が殺到、人材が確保できないために仕事を断らざるを得ないというような状況まで起こっており、人材不足に拍車を掛けています。これらが、たしかにMさんの転職に追い風となったと思います。

――人材不足によって、建設業界の現場の方々への負担が増えているような話も耳にしますが、そのような課題に対して何か対応はされているのでしょうか?

岩崎:はい。それについては問題視されており、業界全体で課題解決に取り組み、労働環境や待遇は改善傾向にあります。また、このような取り組みを通じて、若い人材の確保のために、未経験者を採用して大切に育てるという動きも出てきており、20代であれば実務経験だけでなく、専門的に学んだ経験がなくても採用するというような企業まで出てきています。

業界における採用のハードルは、下がりつつあると言える状況ですね。ただ、ハードルが下がっても、なかなか人材の確保が進んでいないというのが実情です。

求職者の思いと人柄が、エージェントにサポートを決意させた

――そんな建設業界への転職をサポートしたのが、今回の求職者Mさんですが、どのように出会われたのですか?

岩崎:コンサルタントサイトに登録された職務経歴書に目を留め、スカウトさせていただきました。30代前半で、二級建築士の資格をお持ちで、直近では建設業界に近い仕事に身を置かれていらっしゃる方でした。お電話でお話させていただき、建築技術者としてキャリアアップしたいという強い意欲を感じましたので、ぜひお会いしたいと思いました。

建設業界に興味を持たれたきっかけについて伺ってみると、運送会社のドライバーとして北陸道を走っているときに、建設中だった北陸新幹線の現場を目の当たりにし、「こんなふうに地図に残る仕事がしたい」「建築の資格を取って、生業としていきたい」と思い、運送会社を退職、専門学校で学ばれたそうです。

その後、耐震診断を行う会社に就職し、在職中に二級建築士の資格を取得、構造計算ソフトを使用して建物の耐震診断に従事されていらっしゃいました。

――そうでしたか。建設業界に近い仕事に就かれたのに、なぜ転職を決意されたのでしょうか?

岩崎:所属していた建設の部署が縮小されることになり、所属者全員に異動の可能性が示されたとのことでした。ただ、転職を決意したというわけではなく、転職サイトを覗いたり、コンサルタントサイトに登録したりしていましたが、応募するなどの具体的な活動はされておりませんでした。

――実際にお会いしたMさんの印象はどのようなものでしたか? また、実務未経験者の採用実績のないS社さまにご紹介することになった経緯を教えてください。

岩崎:建設業界を志す前のご経歴はご本人さまも心配されている部分であり、正直なところ不安ではありましたが、建設関係の仕事を目指してからのMさんは、建設業に対する思いや筋がとおっていましたし、Mさんが高校をご卒業された頃は、多くの方が思いどおりの就職をできない時代でもありましたので、これについては、まったく問題ないと考えました。

何よりMさんは誠実で非常に謙虚な方でしたので、採用でお困りの企業がある一方で、資格をお持ちで、すばらしいお人柄のMさんが採用されないのはとても残念なことだと思い、サポートさせていただきたいとお伝えしました。Mさんには経験に勝る人柄が備わっていると感じたんですよね。とにかく何とかお役に立ちたいという一心でした。

――Mさんの反応は、いかがでしたか?

岩崎:ご自身のキャリアにあまり自信をお持ちではなく、また実務経験がないご自分が建設会社への転職に挑戦できるとは思っていらっしゃらなかったようで、驚かれていましたが、「ぜひお願いしたい」と全面的にお任せいただくことになりました。

そこで、以前より採用をお手伝いしてきた数社にお声掛けさせていただきました。S社さまは、社長さまとの直接のパイプがありますので、今の採用市場をあらためてご説明することで、機会を与えてくださるのではと考えました。

エージェントが見抜いた未経験者である強み

――実務経験のないMさんを紹介された社長さまの反応は、いかがでしたか?

岩崎:びっくりされておりました(笑)。ただ、やはり今が採用難の時代であることは、よくご理解されておりましたし、私たちがあまりにお薦めするので「とりあえず会ってみるよ」となりました。

S社さまは、以前より面接は1回のみで、そこで社長さまをはじめ、役員の皆さま、採用担当者さま一同が介しますが、満場一致でMさんの採用を即決されたそうです。

――満場一致で即決ですか!? 岩崎さんの見立てどおり、やはりMさんのお人柄が評価されたのでしょうか?

岩崎:そうですね。建設の仕事に限った話ではありませんが、企業によっては、中途採用者が前職と同じような仕事の進め方をすることを好まない場合があります。

Mさんは未経験者ですので、前の仕事の進め方を踏襲することもありませんし、素直さや謙虚さが、育てていくうえで非常に大切なものとして評価いただけたのだと思います。Mさんのお人柄が未経験であることと合わさって、強みになったと言えるかもしれませんね。

――Mさんも喜ばれていたのではないですか?

岩崎:はい。建設の仕事に携われることはもちろん、従業員とその家族までもを大切にしながら、永く働けることをモットーに掲げていることなど、S社さまの社風にも大変共感されておりました。年収も前職より上がり満足されていらっしゃいました。

――先ほど建設業界での労働環境が改善傾向にあるとおっしゃっていましたが、そうは言っても、すべてがすぐに改善されるわけではなく、ハードな側面もあるかと思います。そのような点において、MさんとS社さまとをしっかりとマッチングすることはできましたか?

岩崎:問題ありませんでしたね。前職での耐震診断の際、よく建設現場に出向いていらっしゃったとのことで、楽な仕事ではないことは重々理解されておりました。そのような現実を理解したうえで、「やりたいです」と心から言えたこともMさんがS社さまに評価された理由だと思います。

たしかに、どんな仕事にも、厳しい側面はあるものです。そのような現実を求職者にしっかりお伝えして、ミスマッチを抑止していくことは、私たちコンサルタントの役目ですよね。こうしたミスマッチは、求職者にとっても、企業にとっても、大きな損失となりますから。

信頼が呼び寄せた、2人目の未経験者

――そういえば、Mさんの弟さまの転職もサポートされたと伺いましたが。

岩崎:そうなんですよ! Mさんと同じく未経験だったのですが、建設の仕事を志していらっしゃいました。転職活動を本格的にされていたわけではないのですが、Mさんに大変信頼いただけたようで、ご紹介いただいたんです。

お話を伺うなかで、将来の目標に向かい資格取得に励んでいらっしゃることや、建設業界に進みたいと考えていらっしゃることが分かり、弟さまとも何度もお話し合いをさせていただきながら、転職のサポートを進めていきました。

独学で資格取得のための勉強をされていて、合格の見込みも立っていたこともありましたし、Mさんのようにとても誠実で謙虚なお人柄だったこともありまして、内定を2ついただくことができました。2社のなかから、よりご希望に適う1社に入社され、新たなスタートをきられることになりました!

――この業界で、立て続けに2人の未経験者を転職成功に導くなんて、すごいですね! 

岩崎:嬉しい限りですね。私にとっても良い経験になりました。今回のサポートであらためて人材採用における“人柄の大切さ”を実感しました。採用する側、採用される側、立場は違ってもどちらも人ですので、人柄はとても大切な要素ですし、今回のように人柄が経験に勝ることもあります。

ただ、人柄というのはなかなか書類では伝えることはできませんし、求職者さまご自身では伝えにくいものです。経験者、未経験者に関わらず求職者の人柄に注目して、企業さまに直接届けられるということは、私たちコンサルタントの介在価値だと思います。

業界の採用動向、動向から見出す採用の可能性、可能性を実現するためのパイプなど、業界特化したコンサルタントならではのお話を伺うことができました。岩崎さん、これからも求職者のためにがんばってください。

今回のまとめ
  • コンサルタントは、業界の採用市場を熟知したうえで採用の可能性を見出し、それを実現するための企業側とのパイプを持っている。

※コンサルタントによってサポート内容は異なりますのであらかじめご了承ください。

※スカウトサービスにおいて個人を特定できる情報は閲覧できません

岩崎 晴香

岩崎 晴香(イワサキ ハルカ)

ヒューマンタッチ株式会社(現:ヒューマンリソシア株式会社)
大手ゼネコン・ハウスメーカー、設備、土木、プラント関連企業における設計士や施工管理技士などの求人を多く扱っており、数多くの実績を有しております。
キャリアアップ・年収アップ等、ご希望を叶えるご転職を第一に考え、サポートして参ります。
若手の未経験者の募集から中高年のハイクラス募集まで幅広く対応しておりますので、
遠慮なくご相談下さい。